旧堺港界わい

Keishin Honda

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「ええ? この事件、そんな経緯やったんか? 漫才師のほれ、何とかいう……、あの人が救急車呼んだけど、アカンかった。このOL、野村か? オペレータの?」
 男は記事にまた目を落とした。読み入っている。
 心拍数が速まって行った。額から汗が滲み出る思いがして、野球帽を取り、袖で拭った。また髪が数本抜けた。
「鋏くらいで死ぬか? まぁな、倒れたとき、打ちどころ悪かったり、本人の持病とかなぁ、色々あると思うけどな。でもな、鋏が原因と違うんちゃうか。刺されたままずっと生きてて、後からきた人にとどめ刺すってあるやんか。絶対他の人にも恨まれているで。案外実刑少ないんちゃうかな、そのハゲの人」
 男は顔を上げると、視線をそのまま相手の頭部に向けた。
「ごめん……光男さんは……」
 眉を顰めて、頭部を見ている。

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