「殺したん? 殺してもうたん? 死んだんか? 野村、死んでしもたん?」
隣の男が目を輝かせた。細い目から正気が伺えた。本当に事件が好きなのだろう。
「ほんで、どうなったん?」
男は持っていた新聞を膝から落とした。新聞よりも、この話に興味を持ったようだ。新聞を拾い上げようとすると、放っておけとばかりに、身を乗り出した。
「この中に続きがあるので……」
そう言うと、男は言葉を失い、せがむのを止めた。
大阪若手芸人も懇願!
ミナミOL殺人事件、明日時効
その片隅の記事を指差し、男に手渡した。黙って記事に目を移すと、見出しを小さく読み上げた。