「アメリカじゃなくていいんですね?」
鼓動が高鳴っていた。
『はい、宅配便の着払いでお送りください。申し訳ございません。それから宛名ですが、有限会社大阪屋までお願いします』
「大阪屋?」
『はい、アメリカ屋の国内代行をしております』
宛名はアメリカ屋ではなかった。日本にはアメリカ屋は存在しない。
「着払いで大阪の住所に、大阪屋さん宛に……」
『はい、こちらにお願い致します』
こちら、と女は言った。
「失礼やけど、名前聞いておいていい?」
女はカワシマと名乗った。
「野村さんも大阪にいてはるん? 野村さんの名前も送り状に書いとくわ」
『ええ、担当させていただいたのは、野村でございますね。今、席を外しておりますので、折り返しご連絡させていただきましょうか?』
「いや、ええねん。ありがとう。じゃ、送るから」
慌てて電話を切った。大きく息を吐き出し、住所を書いたメモをかざした。
――野村は大阪にいる。