『申し訳ございません。それは仰ってくだされば……』
「ほんだら、送ってくれたらええやん」
『今すぐには……』
「だから、もう一回だけって言うてるやろ」
『お客様、だから、違法なんです』
オペレータは強い口調になった。
「もうええわ」
吐き捨てたものの、受話器を置くことができなかった。
すると、
『……うるさい客や。だから禿げるねん』
電話が切れる寸前に小さくそう聞こえた。耳を疑いながら、こめかみの血管が切れる音がした気がした。すべての不満がこのオペレータに向かった。口火を切ったのは、この女のこの言葉だ。