説明を省くため、八百屋の主に渡した説明書の内容に、宣伝文句と注文書を加え、多めに印刷し、それも店頭に置いた。
価格は倍額を提示したが、注文は絶えなかった。同じ悩みを抱える者として、当然理解できた。
アメリカ屋は送料込みの価格を表記していたから、小分け注文にも躊躇しなかった。受け取っている間に、起こりうるトラブルも想像できるようなり、アメリカ屋の「よくある質問」のページのやり取りも理解できるようになってきた。
アメリカ屋も代理店を歓迎していた。普通郵便でアメリカから送られてくるため、到着が遅れてしまったり、液体の漏れはあったが、連絡すれば二つ返事で再送されるため、これといってアメリカ屋とのトラブルはなかった。
しかし客とのトラブルは、免れないものがあった。生えないことに苛立つ者は、必ずいつまで続ければいいのかという質問をした。
「抜け毛はどうですか?」
そう尋ねると、
「そういえば、減ってる気がする」
と、答えた。