「ボクのこと、生意気やって思ってるやろ? これでも十七年生き延びてんねんけどな」
海里は自分の成長を明るく悲観して言った。
「えっ、じゃあ、私と同じ……。ごめんなさい」
「謝ったな?」
遠海は謝ることで、考えが図星だったことを認めてしまった。それを素早く察知した海里が笑っている。そして何か話そうとしたとき、喉に何かが絡んだようにごろごろさせた。
「ねぇ、やっぱり着替えた方がいいよ。風邪引くから」
生意気な少年は、遠海の忠告にこくりと頷いた。
「なぁ、ボクの家にけぇへんか? 家出の間、預かったるわ。ばあちゃん居るから心配せんでええで」
少年は半ば強制的に遠海を自分の家に誘導したようだったが、遠海の方も彼のその祖母に一言礼を言うためについていった。
「ばあちゃん、お客さんやで」
引き戸を開けるとすぐに海里が言ったが、誰の返事も返ってこなかった。