「ありがとう。毛布……濡れてしまうな、ばあちゃんに叱られるやろな」
少年は身長は小さく痩せていたが、口調は大人っぽく、不相応に落ちついていた。
「ボクは海里、三島海里」
「松下遠海」
遠海は、名乗りながらもう片方の杖を彼の脇の下に構えてやった。
「遠海ちゃんか、こんなところで野宿したん? 女のくせにやるな。見所あるで」
海里の小気味のいい口調は、少し生意気にも聞こえた。しかし、不思議と嫌味ではなかった。
「着替えないと、風邪ひくよ」
「ボクのこと小学生やって思ってるやろ?」
少年は笑って、毛布に包まったまま海辺に座った。