旧堺港界わい

Keishin Honda

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 家の前の公園で、ベンチに座って考え込んでいる遠海に達也が言った。
「オリンピック、行きたいな。次ってオーストラリア? なぁ、アメリカとかでトレーニングしたり。オレ、アメリカ人なろかな。け、結婚とかして……」
 チラリと遠海を意識して視線を向ける達也。遠海はどこかぼんやりしている。達也は彼女を勇気付けようとまた話し出す。
「ほんでな、子どももアメリカで生むねん。ほんだら、二十歳になったとき、日本かアメリカか、国籍選べるなねんて。テレビで言うてたで」
 遠海は、達也を見てにっこり笑う。
「気にすんな、あんなヤツ。それより、あの……旅行のことだけど」
 一八〇センチに達した長身と水泳選手らしい肩幅を持つ達也は、その体型に不釣り合いな少年のような顔を真っ赤にした。

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