旧堺港界わい

Keishin Honda

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 遠海と達也はジャージに着替えて、学校の校門を出た。達也の押している自転車の籠に無造作に積み上げている二つの大きなスポーツバッグが、体育会系の学生らしい。
「ああ、高校最後の夏休みも、もうすぐ終わりやな」
 達也が空を見上げて言った。もう日がすっかり暮れていた。返事のない遠海を振り返ると、ついてきてはいたが、足取りが重く俯き加減だった。
「遠海、どうしたんや? さっきから変やぞ」
 学校の塀が途切れたすぐ前に立っていたひとりの男が、待ち構えていたかのように、遠海に近づいてきた。達也は自転車を止めて慌てて駆け寄った。
「おい、おっさん、何の用や?」
 プールサイドにいたあのカメラマンだった。

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